コロナは音楽を殺すのか#8
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特集『コロナは音楽を殺すのか?』(全11回)は、音楽業界のステークホルダーへの取材を基に「有史以来最大規模の危機」に直面する音楽業界の現状に迫る。Napsterに影響を受け、Facebookを踏み台とし、MicrosoftやTencentの食指をくぐり抜け、Appleやレコード会社を敵に回しながら音楽業界の雄へと上り詰めた「Spotify」。#08では、Spotifyを主役に激動の音楽サービス20年の興亡史と音楽ストリーミングサービスの収益構造を、豊富な図とともに解説する。(ダイヤモンド編集部編集委員 長谷川幸光)

世界最大の音楽ストリーミングサービス
「Spotify」とは?

 米国時間7月29日、スウェーデンのスポティファイ社は、2020年第2四半期(4~6月)の業績を発表。同社が提供する音楽ストリーミングサービス「Spotify」のMAU(月間アクティブユーザー数)が2億9900万人、有料会員数は1億3800万人に達したことを発表した。

 前年同期と比較して有料会員数が27%もの高成長を続けており、無料版を含めた総会員数は数カ月内に3億人に達すると見込まれている。ライバルの「Apple Music」は大きく水をあけられた格好だ。

 音楽ストリーミングサービスは、ネットワーク上のサーバーから音楽データを受信しながら、ほぼ同時にリスナーが音楽を再生できるサービスだ。ダウンロード再生のように、データを全てダウンロードし終えてから再生するわけではないため、データの受信待ちに時間を要することがない。Spotifyは、音楽ストリーミング市場でトップシェアを持つ、世界最大の音楽ストリーミングサービスである。

 北欧の弱小スタートアップは、音楽業界に君臨していたアップルになぜ打ち勝つことができたのか?Spotifyが持つ「3つの強み」とともに見ていこう。

北欧の弱小スタートアップが
アップルに勝てた3つの理由とは?

 1990年代後半から音楽業界は楽曲の違法コピーに頭を抱えていた。そのような中で1999年に登場したのが、P2Pという技術を用いた音楽ファイル共有サービス「Napster」だ。