太平洋戦争を勃発させた東条英機も、戦時中に失脚している。日本が連戦連勝している間は国民は熱狂的に東条を支持したが、戦況が悪化すると東条内閣を憎悪するようになり、失脚してしまったのである。
このように日本史上、大きな権限を握った為政者たちは、短期間のうちに自滅していった。他国のように数十年続く専制政治は皆無といってよい。とくに多数に犠牲を強いることが明らかになると、とたんに人々は為政者に噛みつき、寄って集ってその座から引きずり下ろそうとした。
民を虐げる独裁には屈しない。それがどうやら、昔から受け継がれている日本人の特徴らしいのである。