2020年3月は、2030人の子どもたちに対して、2019年度の給付金の送付が予定されていた。しかしコロナ禍が襲い、子どもたちや子育て世帯が悲鳴をあげていた。「あすのば」では、予定されていた給付金の送付予定を早め、3月11日には1900人に対して送金手続きを完了した。

 2020年度に入ってからは、不採用となった子どもたちのうち1300人の繰り上げ採用、非課税世帯の高校生世代1200人を対象とした緊急支援など、一民間団体の限界に近い現金給付を継続している。しかし毎回、採用数の数倍の子どもたちが、切実なニーズがあるにもかかわらず不採用となっている。

 野球の「甲子園」をはじめ、高校生の多様な活動がコロナ禍で中止となった。しかし危機に瀕しているのは、高校生活というより、高校生活のスタートや継続ではないだろうか。

ギリギリの自転車操業さえ
打ち砕かれた生活

 小河さんは、「あすのば」に寄せられた子どもたちや保護者の声について、「平時に見えづらかった課題が露呈しています」と言う。もともとギリギリの綱渡りのような日常をコロナ禍が襲い、綱渡りすら不可能にしてしまった構造だ。高校生世代が「あすのば」に寄せた声を紹介しよう。

「今春、私立の通信制高校に入学しましたが、母が失職したので退学を考えました。中学生の弟には障害があり、就職先を見つけるのにもハンデがあります」

 まず高校進学にあたって、通学制の高校や公立通信制高校に進学できなかった事情が気になる。中学までの間に、何らかの社会的ハンデを背負わされてきた可能性もあるだろう。障害を持つ弟の「ヤングケアラー」としての役割を担わざるを得ないのかもしれない。