残り3年で証券取引法とシステム構築はできるか<br />大和に課せられた最後の苦労と重責(下)ミャンマー証券取引センターのオフィス。
Photo by 大和証券グループ本社

「ミャンマーにおいて、急いで改革を行っても決してうまくいかない。外から見ると、もっと早く改革してくれと思うかもしれないが、時間をかけないとできる改革もできなくなってしまう」

 ミャンマーの酸いも甘いも知り尽くしたような表情を浮かべながら、ミャンマー証券取引センターのソウ・テイン・エグゼクティブディレクターはつぶやいた。前回も紹介した同センターで、今年初めに話を聞いた時の反応だ。

 そこだけ時間が止まったようなセピア色の空間、世間の喧騒から切り離された静寂――。まばゆく点滅する証券ボードもなく、数人の事務員たちがいつもの仕事を粛々とこなしている。ここが、世界の投資家から熱い視線を注がれるミャンマーの証券投資改革の中心地なのか。

 前回は、20年以上前にミャンマーに進出した大和総研の、現地で証券取引所開設準備に携わった今までの取り組みをご紹介した。今回は、2015年に迫った証券取引所開設に向けての彼らの挑戦についてお伝えしたい。まずは前回に引き続き、現状の証券取引法の準備における現状と今後について整理しておこう。杉下亮太・大和総研アジア事業開発部副部長シニアコンサルタントに話を聞いた。

「すぐの変化を期待しすぎない方が
良いと思っています」

――証券取引法の準備状況は。

 当初は2011年末にはできると聞いていました。それが3月末までに法案が通りそうという話になったが、実際は通らなくて、7月から再開された議会で話し合われるということになっています。積み残しの法案も他にあるので、どこまで順調にいくかは不明です。