パーソル総合研究所が今年2月に発表した「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査」によれば、日本で正社員やパート・アルバイトとして働く外国籍の就業者1000人が、日本人上司のマネジメントに対して抱く不満の中で最も多いのは、「変化を嫌がる傾向にある」(30.8%)、次いで「アイディアや意見を受け入れてくれない」(25.8%)だった。
つまり、われわれは外国人労働者が職場にやってきても、何かを変えるということはせず、ひたすら「日本人らしい働き方」を求めてきたのである。「ゴチャゴチャ面倒臭いことを言わずに黙って従うのがプロだぞ」と、外国人にまで社畜的なワーキングスタイルを求める風潮が浮かび上がっているのだ。
この構造は、黒人をルーツに持ちアメリカ社会で生きてきた大坂なおみさんに、不得意な日本語を無理にしゃべらせて、「よっ、出ました、なおみ節」とももてはやしたムードも、まったく同じである。
他人に迷惑をかけることを恐れる
美徳を他人への寛容さに生かすべき
テレビによく登場する外国人タレントを、見てみるといい。みな、流暢に日本語を操る人ばかりではないか。日本人よりも日本文化に精通している人もいる。われわれは外国人を受け入れているようで、実は「日本人になった外国人」が好きなのだ。
もちろん、こんな人種的イデオロギーの押し付けは、大坂さんのような人たちにとって「迷惑」以外の何ものでもない。
今こそ「他人に迷惑をかける」ことを極端に恐れる日本人の美徳を生かして、異なる政治的主張、異なる価値観を持っている人たちをディスるのではなく、「そういう考えもあるんだな」と受け入れる「寛容さ」を持つべきではないか。
(ノンフィクションライター 窪田順生)