テレワークが進み、オフィスで毎日顔を合わせる機会が少なくなる「コンタクトレス時代」には、上司と部下のコミュニケーションの問題が発生します。「コンタクトレスでも、部下はちゃんと働いてくれるのだろうか」「部下の教育をうまくやるにはどうすればいいのか」……。マネジメント側の悩みは尽きません。コンタクトレス時代に、直接顔を合わせる機会が少ない中で、どのように部下指導を行えばいいのかについて考えていきましょう。(NIコンサルティング代表取締役 長尾一洋)
コンタクトレス時代の
部下指導「3つの『S』」
テレワークという働き方が定着し、営業活動もコンタクトレスで行うようになると、当然ですが上司と部下が顔を合わせる機会や時間は、これまでにくらべて大幅に減少します。「会えない」「様子が見えない」状況の中で、「部下とどのように接すればいいのか」「適度な距離感や関係性をどうつくっていけばいいのか」という悩みを抱える管理職の方は多いでしょう。
コンタクトレス時代の部下指導においては、3つの「S」を意識してもらいたいと思います。
1つ目の「S」:「See」(見る/見守る/見える化する)
部下の「監視」は絶対NG!
約2500年前に書かれた『孫子』(地形篇)には、次のような言葉が残されています。
卒を視ること愛(あい)子(し)の如し。故に之と俱(とも)に死す可し。
将軍が兵士たちに注ぐ眼差しは、赤ん坊に対するように慈愛に満ちているものである。だからこそ、いざというときに兵士たちを危険な深い谷底へでも率いていくことができるのである。
また、将軍が兵士たちに注ぐ眼差しは、我が子に対するもののようでもある。だからこそ、兵士たちは将軍とともに死ぬ覚悟で戦いに臨むことができるのである。
これは戦いの場における将軍の心得として書かれたものですが、将軍と兵の関係を現代のビジネスシーンにおける上司と部下の関係と考えれば、「赤ん坊(嬰児)のように」「我が子(愛子)のように」上司は部下を見守りなさいというふうに読み取ることができます。