国内上位企業の多数をクライアントに抱え、さらにその中のトップ案件に強みを持つ戦略系コンサルティング会社のA.T. カーニー。日本で従業員200人ほどの同社が、業容を拡大する他社とは異なり少数精鋭を守る理由とは。特集『コンサル激変』(全8回)の#7では、同社史上最年少で日本代表に就任した関灘茂氏に業界のいまを聞く。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
――コンサルティング業界の就職・転職人気が高まっていますが、現状についてどのように感じていますか。
私が入社した2003年ごろの外資系の戦略系コンサルティングファームでは、新卒採用人数は各社足し合わせてもおそらく数十人ぐらいの規模で、それに対して数千人から数万人の応募はあったと思います。しかも、一般の大企業のように就活サイトには情報があまり出ておらず、「探し当てた」人たちがたどり着いてこの倍率なので、当時から人気は高かったといえるかもしれません。
ですがその後、他のファームで採用人数がどんどん増えました。最初は会計系が中心で、10年代からは他の戦略系ファームも増え、いま各社が人数を相当拡大しています。そうなると、応募者数も増えていますが、採用人数も増えていますので、そのバランス、つまり倍率で見ると業界全体では人気が下がっている可能性があると思っています。
――倍率という見方ですか。
はい。で、個社の人気は倍率ではなくてオファー(内定)受託率、つまりオファーした後、何人がそのオファーを受けるかという視点で捉える方法もよいかもしれません。実はA.T. カーニーは、厳選採用を続けているので倍率も上がっていますが、このオファー受託率も改善しています。
他のファームでは規模拡大にかじを切るところもある中、少数精鋭のA.T. カーニーと他社の違いが、入社する人によく理解されてきているのだと思います。
――具体的に何が違うのですか。