コンサル業界で進む働き方改革。その先陣を切ったのがアクセンチュアだ。だが、働き方改革の狙いの裏には、「デジタル化」への対応というコンサル業界で起きる変化への布石があった。特集『コンサル激変』(全8回)の#6では、アクセンチュアの江川昌史社長にインタビューし、改革の真意に迫る。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
いち早く働き方改革を進める
――アクセンチュアでは「Project PRIDE」と呼ばれる働き方改革を2015年からいち早く推進しています。その背景は何ですか。
まず、僕自身アクセンチュアの働き方に対する強い疑問がありました。「Project PRIDE」を始める前は、あまりにも激しい働き方が当たり前になっていて、夜遅くまで働き長時間労働をいとわないという雰囲気があったんです。当時は日本全体がそうでしたけど、まずはそこを改善しないと、いい人材が入ってくれないという危機感があった。
その成果は実は早くから出て、1年目が終わる頃には、社内で「それはプライド違反だよ」なんて言葉が定着するぐらい環境や社内の意識が変わってきました。特に想定以上だったのは、2年目から女性の応募者が圧倒的に増えたことです。それまでのアクセンチュアの社員比率は、女性が2割で男性が8割でしたが、今は新卒で入社する社員の5割以上が女性になりました。
そもそも、僕たちが「Project PRIDE」を始めた大きな理由は、「デジタル化」への対応が必要だったからです。当時出始めてきたデジタル化の波に乗るのに、女性の活躍は避けて通れません。いままでの男中心でハードワーカーのモノカルチャーでは、ちょっと対応できないという思いがある中、女性人気がもくろみ以上に高まったのは、思いがけない副産物でした。
――「デジタル化」の対応で働き方改革ですか。
ええ。少し業界の話をすると、コンサルティング業界って、戦略系のコンサルとIT系のコンサルの大きく二つに分かれています。その中で、アクセンチュアは戦略部門を1990年に立ち上げて、ITと戦略をくっつけるということを30年前からやっています。そこに2000年ぐらいからはアウトソーシングのビジネスも出てきて、「戦略」を立てシステムの導入といった「実行」をして、さらにそれを「運営」するという、「End to End」と呼ばれる一気通貫のサービスをもう20年前から手掛けてきました。
その中でアクセンチュアは、「アウトカム」、要するに成果を出すことに主眼を置いてきたんですね。