コンサル激変#7

ボストン・コンサルティング・グループで日本代表などを歴任した、日本のコンサルティング業界の顔である御立尚資氏。特集『コンサル激変』(全8回)の#8では、御立氏がコンサル業界を取り巻く社会の変化と、これからのコンサルに求められる能力について持論を語った。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

――東京大学、京都大学のコンサルティング業界への就職人気が高いことに対して「不健全だ」と語られていたこともありますが、その意味とは。

 これを言うと現役の人たちに怒られちゃうけど(笑)、二つの意味で引っ掛かるなと。一つは、全ての業界がそうであるように、会社の中身は時間とともに変わっていきます。いまコンサルに対して感じているいいイメージも、自分が活躍するころには変わっていることを理解して入る必要があります。

 もう一つは、人気ランキングの上位になると、なんとなく「偏差値の高い学校だから受ける」という感覚になること。コンサルはあくまで経営者のパートナーです。コンサルに入って勉強をして起業する、違うトライをするというのは全く構わないですが、とにかく人気だから受けてみようという人が増えるのはやっぱり正直引っ掛かる。

 それに、昔に比べて働き方は非常に合理的になっていますが、それでも自分が思ったよりできないことって、当たり前ですが入社して2~3年はあります。人気が高いからという理由で入った人が乗り切るのは、心理的にもつらいでしょうし、お互いに不健全。それが一番心配ですよね。

――では、コンサルに向いている人材は具体的にどのような人ですか?

 根本的には、まずコンサルティングビジネスには、「多層的」な能力がどんどん必要になってきています。