大手広告代理店、読売広告社と大広の合弁会社である「読広大広(上海)有限公司」副総経理の重松俊範氏(中国駐在7年)に、日系企業が中国市場で勝つための広告戦略について聞いた。

日本企業は中国では
リーダー戦略を採るな

重松俊範・読広大広(上海)有限公司副総経理

――中国でのマーケティングで苦戦している日系企業が多いようです。なぜ日系企業はうまくいかないのでしょうか?

 現在中国には、日本ではマーケットの「リーダー」である名だたる大企業が進出してきています。ただし、実際には、商品力はあったとしてもチャレンジャー・ニッチャー戦略しか取れないはずなのに、日本市場と同じように「リーダー戦略」に基づいて行動してしまうことが多いことが原因だと思います。

 中国では、ローカル企業、欧米企業を含む大手競合が年間100億円かけてマーケティングしているのに、日系企業の予算は1億円だったりします。そんな状況にもかかわらず、予算規模の違う大手競合のマーケティング手法を真似したがる日系企業が多いのが現状ですが、100倍の予算をかける競合と同じことをやっても日系企業が勝てる訳がないのです。

 それ以外にも、「意思決定スピードが遅い」とか、「中国事業の責任者が3年ごとに交代して前任者の全否定などから入るためブランドイメージが定まらない」なども日系企業が中国で苦戦している原因だと思います。

 反対に、多少予算は少なくても、中国に長く駐在している日本人の事業責任者が、事業に関わる全ての意思決定を迅速に行っている日系企業は中国でもうまくいっていると思います。