離職率の低い総合商社を
辞めた人が感じた不満とは?

 外資系企業が存在感を放つ今回のランキングの中で、日系企業として上位にランクインしたのが、総合商社の三井物産(15位)と三菱商事(21位)です。

 新卒社員の入社3年での離職率は3割程度と言われているのに対し、総合商社はその割合が数%程度と低く、OpenWorkでも高い評価を誇っています。そんな「あまり辞めない」総合商社を辞めた人は、どういった理由から退職を考えたのでしょうか。

【15位 三井物産の社員クチコミ】

「外銀、外コンなどと比べると若手の成長スピードは遅いと言わざるを得ない。新卒時は、たとえ順番が回ってくるのがかなり先になっても、大きな仕事を出来れば良いと考えていたが、大学同期など周囲では若いうちにチャンスをつかむ人間が増えており、今のままで良いのか疑問に思う」(コーポレート、男性)

「実力のない20代前半はゆとりを持ちつつも多種多様な現場、研修、海外派遣などを通じて一気に成長することが出来るが、後半からは部署や配属によってはやれる仕事も大きく変わるため、成長機会や速度が制限されることも多々ある。自分の希望と違ったり、意義はあるが成長機会ややりがいや組織体制が限られた仕事を担当する場合は、モチベーションを保つのが難しく成長速度も限られる」(非管理職、男性)

【21位 三菱商事の社員クチコミ】

「下積み期間が長く、今の若い世代とは考え方が合わない。現社長は実力主義であり若手からどんどんポストを与えたいと思っているが、ポストの需給がマッチしておらず、裁量権のある仕事をできるまでには時間がまだかかる。今後のポスト増加、実力主義の風土などの条件がそろえばそのような状況にもなるはずである」(コーポレート、男性)

「安定、高待遇、ワークライフバランスを考えると、日本でもトップクラスだと思うが、ザ日本企業であるが故に年功序列や官僚組織の風土が色濃く、社内調整や上司の顔色をうかがう場面が多い」(営業、男性)

「社内転職制度であるチャレンジポストなどの制度はあるものの、なんだかんだ引き続き縦割り業界であり、背番号が変えづらいなど、対面する業界に変化をもたらしづらいと考えたため。事業会社への出向もポストとしての位置付けが強く、年功序列で配属されているのが実態と感じる」(営業、女性)

 外資系コンサルティングファームとともに、新卒就職市場では人気の高い総合商社ですが、入社後は長期雇用を前提としたキャリアパスや、配属リスク、年功序列の風土に不満を持つケースもあるようです。

 退職が前提になっている組織風土の外資系コンサルティングファームと、長期雇用を前提にする総合商社。就活生は、この風土の違いもよく理解した上で、就職先選びを行うことも大事でしょう。

(本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを基に制作しています)