採用ミスが起こることを想定した採用プロセス・人事制度の構築を
朝倉:ここまで、起こりがちな採用の失敗例を挙げてきましたが、これらの問題を防ぐには具体的にどのような対策が必要でしょうか。
村上:会社の規模が大きくなり採用数が増えると、属人的な目利きでは人のスクリーニングができなくなり、一定の確率でミスが発生するということを前提として捉えるべきでしょう。だからこそ、複眼的な採用プロセスを構築し、第三者の視点を取り入れることが重要になります。
注意したいのは、この第三者の視点を無視してしまうケースが往々にしてあるということです。採用プロセスに第三者の意見を取り入れるなら、その第三者のネガティブな評価を重視する姿勢が必要だと思います。
朝倉:採用ミスを完全に防ぐことはできないというのはその通りでしょうね。だからこそ、失敗するという前提で、採用プロセスや人事制度を設計していくべきではないかとも思います。
優秀な経営者の方であっても、必ずしも人を見極める力に秀でているとは限りません。人によりますが、優れた経営者やビジネスパーソンであることと、人を見る目があることの間には、大して相関性がないと感じることも、ままあります。
この点、なるべく周囲の意見を取り入れしながら、良い人材を選んでいくが望ましいのでしょうね。
また先ほど、「厚遇しすぎてしまう」ケースについて話しましたが、最初にインセンティブとして一定規模のSOを渡して採用するのではなく、一定の条件を満たせば一定の量を配分する、といったコミュニケーションをするといった方法もあるでしょう。
あるいは、どんなに実績のある人物でも、いきなり要職に据えるのではなく、段階的に組織に迎え入れるロードマップを相互にすり合わせておくといった方法もあるでしょうね。会社側にも、また新たに加わる想定の人物のためにも、状況の変化に応じ、軌道修正できる余地を残しておく準備が肝心なのではないでしょうか。
*本記事はsignifiant style 2020/7/12に掲載した内容です。
(ライター:岩城由彦 編集:正田彩佳 記事協力:ふじねまゆこ)