賢人#22Photo by Yoshihisa Wada

現代マーケティングの第一人者として知られる米国の経営学者、フィリップ・コトラー氏(ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院教授)がこのほど、ダイヤモンド編集部の書面インタビューに応じた。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#22では、コロナ禍で企業が取るべきマーケティング戦略、日本企業凋落の理由などについて質問をぶつけ、悩める企業経営者たちに泰斗としてアドバイスを直言してもらった。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

マーケティング「4.0」から「5.0」へ
あらゆるテクノロジーとの関係が不可欠に

――コトラー教授は『マーケティング4.0』(以下「4.0」)と題した書籍を2016年に発表しましたが、来年には数年前から研究を続けてきた「マーケティング5.0」(以下「5.0」)を出版予定と聞いています。「5.0」はどのような内容なのか、「4.0」との違いは何かを教えてください。

「4.0」を打ち出した目的は、私たちが「デジタル時代」を迎えたことが消費やビジネス、マーケティングツールなどに与える衝撃を説明したかったからです。これは、ソーシャルメディアのような新しいツールを、マーケティングで積極的に使ってくださいというメッセージでした。

「5.0」ではさらに、マーケティングに影響を与える主要な最新テクノロジーとの関係に光を当てています。そのポイントは、AI(人工知能)やセンサー、IoT(モノのインターネット化)やロボット、ドローン、ブロックチェーン、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、最新の予測技術や5G(次世代通信規格)、人工衛星に至るまであらゆるテクノロジーとの融合にあります。

――新型コロナウイルスは「5.0」のようなマーケティングの在り方をグローバルに広げ、加速する要因となり得るのでしょうか。