『週刊ダイヤモンド』10月3日号の第一特集は「三菱の野望」です。国内最強のエリート集団、三菱グループが創業150周年の節目に緊急事態に陥っている。三菱「御三家」がそろって業績不振に陥ったことでグループの求心力は低下。三菱「財閥」は創業以来最大のピンチを迎えている。

三菱自動車の救済をめぐり
乱れた「御三家」の足並み

最強エリート集団・三菱グループがピンチを迎えている
Photo:SOPA Images/gettyimages

「三菱重工業だけではなく、いつか三菱UFJ銀行が逃げることだってあり得るのでは」――。

 三菱自動車の中堅社員は、グループの重鎮である「御三家(三菱重工業、三菱商事、三菱UFJ銀行)」の三菱自支援の足並みがそろわないことへの懸念を明かす。

 2004年にリコール隠しで揺れる三菱自の再建の音頭を取ったのは、三菱重工だった。だが、自社の懐事情が厳しくなるにつけ、ビジネス上の関係がほとんどない三菱自と距離を置くようになる。ついに18年、三菱重工は保有する三菱自株を三菱商事へ売却し、支援の輪からほぼ足抜けした。

 一方の三菱UFJ銀は、21年3月期に3600億円もの巨額赤字に転落する三菱自に対して、過保護なまでのお膳立てをした。3000億円を金融機関8行からかき集める先導役を担ったのだ。

 ただし、ここで注目すべきポイントがある。

 総額3000億円のうち三菱UFJ銀が拠出したのは約900億円にすぎず、三井住友銀行、みずほ銀行、日本政策投資銀行の3行からも400億~500億円を引き出している。

 三菱UFJ銀の融資額が突出しているわけではなく、メインバンクとして負う責任以上の金は出さない姿勢にも映る。だからこそ、冒頭の三菱自社員は支援の本気度に疑いを持っているのだ。

 頼みの綱は、三菱商事ただ一社である。その三菱商事とて、三菱自の経営不振が主因となり、21年3月期に商社業界の利益首位の座を伊藤忠商事に明け渡す見通しだ。三菱商事は、逝去した益子修・三菱自前会長(三菱商事出身)の後任を派遣しない方針。自動車業界において存在価値が小さい三菱自への過度な支援には迷いも見える。

 三菱自を巡る御三家の対応は、「鉄の結束」を誇るグループ瓦解の序章にすぎない。