韓国のサムスン電子にとっては他人の不幸を喜ぶ四半期といったところか ――。サムスンの業績が絶好調なのは、競合である中国の華為技術(ファーウェイ)の苦境に負うところが大きい。だが、都合のいい悪材料の全てが長続きするわけではない。サムスンは8日、7-9月期(第3四半期)の利益が前年同期比58%増の約12兆3000億ウォン(約1兆1300億円)と、2018年以来の高水準になるとの見通しを示した。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスがまとめたアナリスト予想の平均10兆1000億ウォンも手堅く上回る水準だ。詳細な数字が公表されるのは今月下旬になるものの、サムスンはほとんどの項目で予想を超えている可能性が高い。スマートフォンメーカーの世界首位の座は4-6月期にファーウェイに奪われていたが、今回おそらく返り咲くだろう。モルガン・スタンレーはサムスンの7-9月期スマホ出荷台数が8000万台を超え、前四半期をおよそ50%上回ったと推計している。この伸びには思いもよらないタイミングの重なりも寄与している。ファーウェイに対する米技術を使った半導体の販売禁止が先月発効したのに加え、アップルは通常9月に行う新型iPhone(アイフォーン)の発表を来週に遅らせた。10-12月期には新型iPhoneが発売されるほか、広東欧珀移動通信(Oppo、オッポ)や小米科技(シャオミ)など中国他社もファーウェイの穴埋めを狙うため、再び競争が激化するだろう。