「半沢直樹」で学ぶ、粉飾決算の手口と見抜き方
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大好評のうちに幕を閉じたドラマ「半沢直樹」。物語前半のハイライトとなった電脳雑伎集団(以下、電脳)による粉飾決算編も見ごたえがあったが、その粉飾の枠組みの詳細については説明されていなかった。そこで、池井戸潤氏による原作小説「ロスジェネの逆襲」(ダイヤモンド社)における記述も参考にしながら、ドラマ内で展開されていた電脳による粉飾の構造を解き明かし、粉飾の見抜き方について解説してみよう。(中京大学国際学部教授 矢部謙介)

電脳が行った
粉飾決算の方法

 ドラマでは、電脳による粉飾の発端は、ゼネラル産業の子会社であるゼネラル電設の事業を、電脳が新たに設立した子会社の電脳電設に事業譲渡することで、電脳が手に入れたことにあった。

 ここで、なぜ電脳はゼネラル電設に対して通常の企業買収を行わなかったのか、という疑問を持たれる人もいるかもしれない。しかし簿外債務等を引き受けるリスクを回避するために、買収ではなく事業譲渡のスキームを用いることはよくあることだ。

 したがって、ここには不審な点は見当たらない。