例えば、以下の質問を比べてみましょう。

(1)「今の職場の課題を洗い出してください」
(2)「コロナ禍における部署の課題を洗い出してください」
(3)「コロナ禍におけるテレワークの働き方に関して部署の課題を洗い出してください」

 この3つでは、具体性が違いますよね。下の質問に行くほど、具体性が高くなります。(3)のように具体性が高いと、参加者も「今のテレワークについて部署内の問題点を言えばいいんだ」と考えて、その範囲内での意見を述べやすくなります。意見が出しやすいと、活発な議論へとつながります。ファシリテーターは、参加者が考えやすい質問を事前にしっかり準備して会議に臨むようにしましょう。答えやすい質問かどうか迷ったら、自分で答えてみることです。自分でポンポンと意見が出てくるようなら、参加者も答えやすいはずです。

 もちろん、どんな会議でも、具体性が高い(抽象度が低い)質問がベストとは限りません。経営戦略会議など俯瞰的に物事を見る必要があるときには、敢えて「今の職場の課題を洗い出してください」という抽象度の高い質問をして、自由に考えてもらうことが有効なこともあります。

 ここでみなさんに知っていただきたいのは、ファシリテーターが問いの具体性をコントロールすることで、参加者から得られる意見の範囲や質、量も異なることです。活発かつ生産性の高い議論のためには、そのときどきの会議により、「どの程度、質問に具体性を持たせると、よりテーマに合った意見を拾えるのか」を考えてみてください。

 さて、A課長が率いる総務部は、その後、ポイントを絞って具体性のある議論を重ねたおかげで、テレワークを推進する上での総務部の課題を一つ一つ解決していったとのことです。A課長は、「質問の仕方を変えることで、こんなに議論がはかどるとは思わなかった」と驚いていました。みなさんにもぜひ今日から取り組んでいただくことをお勧めしたいと思います。