亀田製菓の挑戦から学べる
海外進出2つのポイント

 日本企業にとってグローバル化は大きな課題の一つですが、海外進出はリスクが高く、特にコロナ禍においては慎重にならざるをえないのも事実です。欧米の大企業の多くはコンサルティング会社などに最も合理的な戦略を立案してもらい、「論理的に最も正しい」と思われる方法で国外に進出していますが、それでも失敗するときは失敗しています。結局はやってみないと分からないことが多いのです。

 亀田製菓の事例が教えてくれるのは、日本企業の製品の中にもすぐに外国人に受け入れてもらえるものと、普及までに時間がかかるものがあるということです。

 日本には戦後、自動車や家電製品で成功した経験がありますし、たとえばソニーのウォークマンなどは「瞬く間に」アメリカ市場を席巻していますから、日本で売れた製品を海外で売り出したら数年で結果が出ると思いがちです。ところが文化に関わる製品を売り出すのは、そう簡単ではありません。しかも国によってそのスピードは変わってきます。

 亀田製菓の社員の方は、「柿の種はポッキーやハイチュウとは違う」(掲書、190-191ページ)、と分析されていましたが、日本的な食べ物であればあるほど、ヒットするまでに時間がかかるのです。ハーバードのエリー・オフェク教授も次のように言っています。

「人間は子どものころに食べたもので、食の好みがほぼ決まってしまいます。味覚、食習慣は簡単に変えられないものです。フムスもアメリカに根付くのに10~15年かかっています。すしは20~30年、ラーメンも同じぐらいかかっているのではないでしょうか」
『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』佐藤智恵著、日経プレミアシリーズ、189ページ)

 今、日本政府は日本の文化に関わる製品を売り出そうとしていますし、食品企業もグローバル化を推進していますが、亀田製菓のように「すぐにあきらめない」姿勢がとても大事だと感じます。長期的な視点と試行錯誤を続けながら戦略を変えていく柔軟性。亀田製菓の事例からは、この2つが重要だということがよく分かります。