最も簡単な断熱方法は
窓にプチプチ状の緩衝シート

 室温によって「睡眠の質」も変わることがわかっている。

「睡眠計による調査を行うと、暖かい家では入眠がスムーズで、熟睡時間が延びます。逆に寒い家では、夜間頻尿リスクが上昇します。就寝前の23時時点の居間の室温が18度の群を1とすると、12度未満の住宅では1.6倍、過活動膀胱(頻尿)の症状が多く出ます。この研究は泌尿器国際医学誌『Urology』に今夏掲載されました」(伊香賀教授)

 18度どころか「12度」を下回ると、よりはっきりと心身に悪影響を及ぼすことも明らかになっている。数十年にわたり「家の寒さと死亡率の関係」を地道に調査し、その結果を分析した「英国の室温の指針」では、12度を下回ると血圧上昇や心血管疾患リスクが高まるとされている。12度以下の環境で寝ている子どもの喘息(ぜんそく)の発症率が高いという報告もあるのだ。

 先に紹介した国土交通省の調査では約55%の家の寝室が13度未満だが、伊香賀研究室が石川県のある町の280世帯を調査すると75%の家で寝室の室温が13度を下回っていた。そして寒い家は暖かい家と比べて「寝つきが悪い」と感じる確率が2.2倍、中途覚醒する確率が2.3倍高くなっている。

 それでは室温を健康的に保つにはどうしたらいいのかというと、ポイントは「住宅の断熱性」だ。断熱とは文字通り“熱を断つ”ことで、冬は外へ逃げていく熱を、夏は内側へ入ってくる熱を断つ。

 日本の住宅では、壁の中の柱と柱の間に、断熱材を詰めるケースが多い。住宅の断熱性を確実に高めるためには、この質と厚みをグレードアップさせ、壁だけでなく床や天井などに詰める改修工事が有効だが、その場合数百万円の費用が必要になる。

「手っ取り早く、そしてできる限りコストを抑えて断熱性を高めるには、窓を二重にする『内窓』がお勧めです」と前出の今泉氏は言う。

 内窓は1カ所につき数万円程度で取り付けることができる。

 しかしこの場合も、住宅内のすべての窓に内窓を入れればそれなりのコストがかかってしまう。そこでまずは日中過ごす時間の長いリビング、または睡眠の質を高めるために寝室だけでも見直してみるといい。

 それも難しい人は、割れ物の梱包に使うようなプチプチ状の緩衝シート(気泡緩衝材)を窓につけると多少は効果がある。ペラペラのシートタイプはNG。気泡のような“動かない空気”が断熱性を高めるのだ。