結婚の後悔(1)
「家事・育児の分担をしておけばよかった」

 家事問題は夫婦ゲンカの原因ナンバーワンです。結婚前には「家事はひと通りできる」「自分も手伝うよ」と言っていた男性が結婚後、ゴミ出しくらいしかやらなくなるのは非常に多いのが現実です。

 なぜ、男性はこのような状況になってしまうのでしょうか。1万人のインタビューで面白かったのは、この辺に男性の微妙な「ソロバン勘定」が働いていることでした。

 家事の分担が続かない男性は、「仕事で稼いで家族を養っている」というプライドを持っています。夫婦共働きで、お互いがどれだけ協力し合っていても、そのプライドは彼を一家の大黒柱たるものにするのに十分な威力を持っています。

 毎日忙しく働き、さらにはゴミ出しまでやっているのだからそれで十分だろうというソロバン勘定があるのです。ゴミ出しだけでも、十分に「割り勘」になっていると思い、それどころか、自分のほうがより負荷を担っているくらいの意識があります。

 しかも、やろうと思っていながらグズグズしているときに頼まれると、つい「カチン!」とくるもので、途端に不機嫌になってトゲのある言動をして、夫婦ゲンカに発展する人が多いのです。

 では、家事の分担に成功している夫婦はどうしているのでしょうか。先人たちへのインタビューから見えてきた成功例は、最初に明確な「ルール化」を行って、少しずつ男性の家事スキルを高めていくというものでした。

 役割分担なのか、当番なのかといった運用ルールもさることながら、分担の理由を明確にしておくと、なし崩し的にルールが形骸化するということに歯止めがかかるようです。

 例えば、共働きのある夫婦では、旦那さんが洗濯を担当し、回数も週2回と決めて運用しています。あるいは料理でも、先に帰ったほうが食事の準備をすると決め、料理が苦手な旦那さんが先の場合は負担を減らせるように、携帯メールでやり取りしながら奥さん中心で献立を決めるとか、ごはんと主菜のしたごしらえだけやるといったルールを決めています。

 緊急時やどうしても忙しいときの、「例外ルール」を設けたことでうまくいったという夫婦もいます。忙しいを言い訳にすると、次第になしくずし的になってしまうので、最初から肩たたき券のような「免罪符」を物理的なカードでつくっておいたり、買い取り制にして、どうしてもやりたくないときは相手に販売するというのも、楽しく実行するルールのようです。