歯周病と糖尿病の悪循環状態を放置すると、糖尿病による合併症にも影響する可能性が考えられる。合併症にはさまざまなものがあり、失明、腎不全、神経障害や血行障害による足の切断など、恐ろしい症状を引き起こすケースもある。

「また、先ほど申し上げたように歯周病は感染症です。歯周病菌が直接波及する可能性が指摘されているのが、細菌が唾液や食べ物などと一緒に飲み込まれ、気管や肺に入って発症する『誤嚥(ごえん)性肺炎』です。細菌がなんらかの原因で血液中に侵入し、心臓弁に感染巣をつくる病気『細菌性心内膜炎』も怖いですね」

 他にも狭心症、心筋梗塞、動脈硬化などの疾患も挙げられるという。

「歯周病は口臭や、最終的に歯を支える骨を溶かし歯が失われる疾患という捉え方のみならず、『全身に影響を及ぼす感染症』であるという捉え方にシフトする必要があります」

 西村氏はそう警告し、早期の治療を促している。

歯周病予防に
簡単な方法はない

 歯周病も虫歯も完全に防ぐためには、毎食後の口腔ケアだけで5分以上の手間を取られることになる。筆者自身、昨年から歯ブラシ以外に糸ようじ、マウスウオッシュなどを併用してケアを行い、歯周病ポケットを大幅に減らすことができたが、いまだにゼロにはならない。

「完璧に自分の力で汚れが除去できる人であれば、ほぼ問題になることはありませんが、おそらくそれ自体非常に困難だと思います。最も有効な予防法は毎日のケアに加えて歯科の定期受診です。3カ月ごとの受診が推奨されています」