FC化を進めるワタミ
大手外食は「パッケージ販売」へとかじを切る

 やはり、外食業界全体を見渡せば、FCが今の局面では有利で、各社は“コメダモデル”で勝ち組入りをもくろんでいるのだ。

 居酒屋大手、ワタミもその一つ。同社は21年3月期中間決算で、売上高が37%減少の286億円、営業損益は55億円の大赤字となった。

 渡邉美樹会長は、19年に会長復帰以降、直営主体からFC主体への方針転換を掲げたが、そのビジョンをコロナ禍で加速させている。

 それを象徴するのが、唐揚げ専門店「から揚げの天才」だ。20年6月上旬には、わずか7店舗だったが、20年9月末で52店の出店を達成し、21年3月までに100店の出店を見込む。駐車場などの空きスペースに出店し、わずか2年で投資回収が可能な「999万円出店モデル」を打ち出し、幅広い個人からFC加盟を募る。

 FC主体への転換について、「(FC加盟で一個人がオーナーとなることで)日本全体を元気にしていきたい。起業家を育成していきたい」と、渡邉会長は説明するが、額面通りに受け取る人は多くない。

 ある業界関係者は、「人手不足もあり、自社で社員を抱えて、店舗に配置するというかたちはすでに限界。誰でも簡単にできるモデルを作り上げ、そのブランド商売をしたいのだろう」と、ワタミの“真の狙い”を推察する。

 債務超過に転落したエー・ピーHDもFC展開を進める。再起を懸け注力するのが、デリバリー主体の新業態、「キッチンクラウド」で、「FC展開を視野にパッケージ化」(同社)するとしている。

 労働集約型の外食産業。いくらデジタル化が進もうとも、店舗の人件費や賃料などの販管費が重くのししかかるビジネスに変わりはない。コロナ禍で、FC展開を進める大手外食企業は、現場の第一線から自らは手を引く。そして、「パッケージ販売」をする企業へ生まれ変わり、FC本部として黒字を確保したいという本音が透けて見える。

Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic:Daddy’s Home