損害保険業界最大手の東京海上日動火災保険が、ここ数年の大規模な災害やコロナ禍を物ともせず、盤石の決算を続けている。その背景には損保会社ならではの要因があった。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の#16では、東京海上日動火災保険が好調を維持できる理由を解説する。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
東京海上日動が大規模災害と
コロナに負けない理由とは
財務諸表は多角的に見ないと、その会社の評価を誤ることがある。損害保険会社の決算の裏には……。
損保会社は事故や災害で生じた損害を、自動車保険や火災保険などで補償する。
下図のように、各社はここ数年、安定的に利益を生み出している。国内最大手の東京海上日動火災保険の決算(単体)を詳しく見てみると、2018年度の決算は、損害保険事業から得られる利益が前年度比26億円増加の892億円、当期純利益は2614億円だった。19年度は385億円、1700億円。20年度は740億円、1550億円と予想している。
こうした安定した決算を見て、勘の良い読者なら疑問に思うのではないだろうか。
18年度と19年度は台風や豪雨など大規模な災害が頻発し、損保業界の保険金支払額は2年連続で1兆円を超える異常事態だった。20年度はコロナ禍によって営業自粛やさまざまなイベントが中止に追い込まれた。
契約者から保険料を受け取り、事故や災害が起きたときには契約者に保険金を支払う損保会社にとって、こうした状況は保険金の支払いがかさみ、財務に大きな悪影響を及ぼすことになるはずだ。