バイデン氏
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米国大統領選挙は、民主党バイデン候補が現職トランプ大統領に勝利して幕が下りつつある。両陣営が大接戦したことは、米国の民意の深刻な分断を示す。ガラスの船で出帆するような新政権の不安定さは、世界の行方も左右する。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

バイデン政権は発足前から
「死に体」の気配が漂っている

 他国の首脳選びを、日本人がここまで手に汗を握って注視したことはかつてなかっただろう。米国大統領選挙は大接戦の結果、民主党のジョー・バイデン氏が共和党のドナルド・トランプ大統領を下した。

 政権交代は往々にして、社会にカタルシス(抑圧されていた感情が解放され、快感が生じること)をもたらす。特にトランプ政権はあらゆる意味で異例ずくめで、米国社会と世界には、複雑な思いが積もりに積もっていた。その鬱積した思いが、選挙結果で一気に洗い流され、つかの間でも安堵する。そんなカタルシスが米国と世界に広がっている。

 米AP通信がバイデン氏の当選確実を報じて間もない11月9日、日本経済団体連合会(経団連)は中西宏明会長の名義で早々に、バイデン陣営への祝意を表明した。「弱者にも配慮した包摂的な経済社会の構築を目指す姿勢が、多くの米国民からの支持につながった」と、陣営の施政方針を高く評価している。関税を武器にした通商姿勢、TPP(環太平洋経済連携協定)からの脱退、他国を巻き込んだ極端な対中強硬姿勢……トランプ政権に振り回されてきた日本の財界も、「やっと終わる」と安堵しているのだろう。

 だが実のところ、新政権は順風満帆とは全くいえない。バイデン政権は発足すらしていない現時点ですでに、レームダック(死に体)の気配が漂っているのだから。