9月に駆け巡った青森銀行とみちのく銀行の経営統 合観測は、東北地方の地銀関係者を一気に目覚めさせた。いよいよ「北東北大連合」へ動きだす可能性があるからだ。特集『銀行再編の黒幕』#5では、北海道・東北地方の地銀関係者の間でささやかれている「北東北大連合」の現実味について探った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
「青森・みちのく」が引き金
東北で巻き起こる再編の大波
「衆議院解散と同じ。首相が前日まで『ない』と言っていたのに、次の日に突然『ある』と言うこともある。そういう意味で青森銀行とみちのく銀行を注視している」
こう声を潜めるのは東北地方の地方銀行幹部だ。
9月初旬、青森県を地盤とする青森銀とみちのく銀が経営統合に向けた検討を始めたとの観測報道が流れると、全国の地銀関係者は色めき立った。
両行はすぐさま経営統合を否定したが焼け石に水。注目は一気に高まった。11月に独占禁止法の寡占禁止規定を適用除外とする合併特例法が施行され、同法が適用される1例目になるとみられたことと、地銀再編を掲げた菅政権にとって、初の「実績」となる可能性があったからだった。