『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

独学の達人が教える「本を読むのが早い人」と「遅い人」の究極の差Photo: Adobe Stock

[質問]
 本を読むスピードが遅いのですが何か早く読むコツはないでしょうか

読まなくていい本を読まないのが一番大事

[読書猿の回答]
 私も本を読むのが遅くて若い頃悩みましたが、一番大事なのは、読まなくていい本を読まないことです。今は「本を手にするまでの時間を短縮する」「同じテーマの複数の本を俯瞰して読む」この2つで1冊平均の時間を短縮しています。

 あとは、『独学大全』で紹介した技法ですが、どんな本も決めた時間で読み切る(この1冊に使う時間は30分だけ、と最初から時間を割り当てる)Timed Readingという方法があります。

限読のやり方
(1)読む本を決め、費やす時間をあらかじめ設定する。15~30分程度の短い時間がよい。
(2)設定した時間内に読む。読み切れない場合も、設定時間が30分間なら30分間で読むことを中断する。読み残しがあっても、心残りがあっても、(少なくともその日は)決してその書物を開かない。

 慣れない分野の文献の場合は、最初の5分間ほどを、構成を確かめたり、どの箇所をどの順序で読むかを考える「作戦タイム」にあてるとよい。

 最後に少し苦いことを言うと、本を読むのは基本的に時間がかかることだと思います。ページを繰る速度は上げられても、読書を通じて自分を作り変えるのにはそれだけの時間が必要だからです。