米シリコンバレーのIT大手はわずか数年前、デトロイトの自動車産業を視野に捉えたかにみえた。グーグルは自動運転の試作車を走らせ、アップルは自社の自動運転車をゼロから設計していた。半導体大手インテルは2017年初め、同社としては過去2番目に大きな153億ドルを投じた買収で、画像認識用の半導体を手掛けるモービルアイを手中に収めた。画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアは自動運転車の中枢頭脳となる強力な半導体を設計していた。一方、アマゾン・ドット・コムの夢は地上では終わらず、16年終わり頃までに英国で、宅配用の小型無人機(ドローン)を試運転していた。こうした取り組みの大半はまだ続いているが、話題性はかなり廃れた。アップルは最も急な方向転換をしているように見受けられ、自動運転開発の「プロジェクト・タイタン」を巡り昨年、200人余りのレイオフが報じられた。グーグルは根気よく取り組み、傘下の自動車ベンチャー、ウェイモは現在、極めて限定的ながらフェニックスでタクシーサービスを提供している。ただ、ウェイモは依然として、親会社アルファベットの「その他の事業」分野に組み入れられ、実質的な収益はほとんど上げていないようだ。直近の四半期決算によると、その他事業は引き続き、ブロードバンドサービス事業(旧グーグル・ファイバー)とベリリー・ライフ・サイエンシズのライセンシングが主な収入源となっている。