“コロナショック”で世界中が大混乱・大激変の一年となった2020年――その2020年度(2021年卒)の就活戦線は、一部を除いてほぼ終わりを迎えたが、2022年卒の就活市場はどうなるのか? 企業へのアンケート調査をはじめとした最新の情報をもとに、その行方を考える。(ダイヤモンド・セレクト「息子・娘を入れたい会社2021」編集部)
*当記事の前段となる 新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(1) 新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(2)を合わせてお読みください。
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2021」の巻頭特集記事「コロナ禍で大激震!“就活戦線”のいま、これからの一部を転載したものです(加筆修正あり)。
22年卒は、大企業ほど、採用人数を絞る動きか?
20年度(21年卒)の就活戦線は新型コロナの影響で異例の展開となったが、その奥では構造的な地殻変動が起きつつある。
それでは、21年度(22年卒)の就活戦線はどうなるのか。
まず気になるのが、採用数の動向だろう。この点について、ディスコ社の「2021年卒採用内定動向調査/2022年卒採用計画」(2020年10月)によると、企業規模・業界のいずれにおいても「今年度(21年卒)並み」とする回答が6割前後に達する(図表7)。このデータを見る限り、全体的な採用人数が大幅に落ち込む可能性は低いといえるだろう。
短期的には企業規模・業界によって採用人数を絞る動きが見られるが、全体的にはコンスタントに一定数の採用を続ける意向の企業が多い。この背景には、かつてのバブル崩壊後やリーマンショック後に採用人数を絞り過ぎ、人員構成にひずみが生じた苦い経験があると思われる。
日本では今後も少子高齢化が進む。企業が成長し、発展していくためには、新しい人材の確保が不可欠の条件だ。コロナショックの影響を強く受けている一部の業種、企業を除いて、大きく採用人数を減らすとは考えづらい。
ただし、全体で「減る見込み」(9.8%)が「増える見込み」(8.7%)を1ポイント以上も上回っている点には注意が必要だ。
企業別では、大企業(1000人以上)で、「減る見込み」(10.6%)と「増える見込み」(7.2%)の差が大きい。大企業は20年度に引き続き、採用数を絞ってくる可能性がある。一方で、中堅企業(300~999人)において、「増える見込み」が「減る見込み」を上回っている。十分な採用が行えず、引き続き、採用に前向きの企業が多いためだろう。また、業界別では、「サービス業など」において、「減る見込み」(10.7%)が「増える見込み」(7.5%)より多い。逆に、「IT」では、「増える見込み」(8.4%)のほうが「減る見込み」(6.6%)を上回る。コロナショックで加速するデジタルトランスフォーメーションへの動きが追い風になっているのだ。
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