ここで有効なのが、「次回も質問するから考えておいてください」というフレーズだ。これが第2の手法である。無反応症候群の症状の重さにもよるが、だいたい数回の会議で、発言者が増えていくことを実感するに違いない。

 それでも返答がない場合でも、「○○が気になっているはずだ」「○○に懸念を持っている人はこう考えてくれ」などとリーダーが決めつけて説明してしまっては、無反応を助長してしまう。「○○の観点から気になる人もいるかもしれないが、どうだろうか」「○○の懸念はあるだろうか、ないだろうか」という程度の例示、示唆を心掛けることで、発言を促すことも効果がある。

メンバーの発言を裁かない

 第3の手法は、メンバーの発言を決して裁かないことだ。「良い意見だ、悪い意見だ」「的を射ている、的外れだ」などというリアクションをしないのが重要だ。参考になった、ならないという程度の差はもちろんあるだろうが、対話や会議の場でそれを白黒つけたり、裁いたりしないことは、発言を促す効果がある。

 そして第4の手法として、「どんな意見でもありがたい」「遠慮なく言ってくれ」「誰からでも思いついた人から発言してくれ」「考えの途中の意見でもよい」…ということを対話や会議でも、そして日頃からメンバーに伝えることが、役に立つ。これを実践しているリーダーが担う組織では、無反応症候群が発生しにくい。

 第5の手法は、そのメンバーがこだわっているフレーズを盛り込んで質問する方法だ。私が20年来実施している演習参加者のこだわりは、チャレンジすること、オーナーシップを取ること、ステータスを得ること、パートナーシップを築くこと、リスク回避すること、バランスを取ることの6つに、だいたい均等に分かれる。

 メンバーが、こだわっていることをだいたい見極めて、その人のこだわりに合わせて問いかけてみることだ。例えば、オーナーシップを取ることにこだわりのある人に対して、「独創性を発揮するという観点で、気になることがありますか」というようにオーナーシップに関連のあるフレーズを盛り込んでみる。本人のこだわりのあるフレーズなので、意外なほど、発言を促す効果がある。