教科書シリーズ
画像提供:山川出版

今、あらためて歴史教科書を読むことがブームとなっている。その火付け役ともいえるのが、歴史教科書を一般向けに販売した山川出版社の書籍「もういちど読む」シリーズだ。山川出版社の曽雌健二編集長に発売に至った経緯を聞いた。大人から支持を集めるきっかけとなった工夫は、従来の説と新説とのタイムラグを利用した「逆洗の発想」にあったのである。(ダイヤモンド編集部編集委員 長谷川幸光)

「週刊ダイヤモンド」2020年2月25日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

なぜ今、大人があらためて
「歴史教科書」を読むのか?

 試験のためにひたすら暗記していた日本史――。学生の頃は、分厚い歴史教科書が憎らしく思えたものだ。しかしこうした歴史教科書を一般向けに販売した書籍が売れている。

 歴史教科書で圧倒的なシェアを持つ山川出版社発行の「もういちど読む」シリーズは、2009年の発売以降、累計130万部発行の大ヒット作となった。

 山川出版社の曽雌健二編集長に発売に至った経緯を聞くと、「仕事で海外を訪れたとき、現地の人から聞かれても自分の国の歴史を答えることができない。こうした声を聞いて、一定のニーズがあるのではないかと考えた」という。

 歴史の教科書というのは、文科省の学習指導要領の改訂があるたびに内容を刷新する必要がある。

「2009年の学習指導要領の改訂によって、それまで高校で使用されていた『日本の歴史』と『世界の歴史』は学校へ供給しないことが決まりました。それではもったいないということで、活用方法を模索していたのです」(曽雌氏)。

 そこで前述のビジネスパーソンの声を思い出したという。しかし、使われなくなった教科書の内容と最新の学説には開きが生まれる。そうしたタイムラグに目をつけ、歴史教科書を一般向けに販売するに際して、ある工夫を施した。