新型コロナウイルスの感染拡大と米中対立は、東芝の半導体事業などを直撃し、同社は追加のリストラを迫られた。車谷暢昭・東芝社長は、構造改革にめどを付け、「デジタル化」と「環境」で稼ぐ考えを示した。特集『総予測2021』(全79回)の#45では、その車谷社長のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
半導体と複合機
懸案2事業に大なた振るう
――2020年は東芝にとってどんな年でしたか。利益改善は足踏みを強いられました。
再生計画の東芝ネクストプランが順調に消化された年でした。
計画初年度の19年3月期はコア営業利益(営業利益から構造改革費用を除いたもの。20年からは新型コロナウイルスの影響も除く)が800億円でしたが、これが20年3月期は1600億円、21年3月期は2200億円になるでしょう。22年3月期の同2600億円超を目指して、重要なステップを踏めたということです。
しかし、一般的な営業利益はそうはいきません。21年3月期は再生費用が追加で200億円必要になったのと、コロナによる需要(顧客による設備投資など)の先延ばしによって、営業利益は1100億円、営業利益率は3.6%を見込んでいます。コロナの影響で足踏みしているのは事実です。
――コア営業利益を開示し続ける理由はどこにありますか。日立製作所はコロナ影響と非コロナ影響の区別が難しくなったので、コロナ影響を除く数値の開示をやめました。