景気動向が他業界よりも遅れて業績に現れるゼネコン業界。コロナ禍での悪影響はまだ本格化していないものの、先行きを示す指標には「変化」が現れている。特集『総予測2021』(全79回)の#30では、ゼネコン業界に及ぶ不景気の影響を予測する。果たして潤うゼネコンはあるのか。(ダイヤモンド編集部 松野友美)
五輪を意識した建設ラッシュはひと段落
そこを襲ったコロナ危機
「踊り場からの回復」という想定が崩れつつある。
もともと建設業界では、予定されていた2020年東京オリンピック・パラリンピック開催の前に建設ラッシュが一段落するはずだった。だからコロナ禍が発生する前の段階で、ゼネコン各社は20年度の工事の受注量はピークを下回る想定をしていた。そのネガティブトレンドに追い討ちをかけたのが、コロナ禍だった。
建設需要は、オフィスビルや工場、ホテルなど民間企業の発注が大半を占める建築と、道路や橋梁などの構造物を造る公共工事が多い土木に大別される。とりわけ不況時には企業が一斉に設備投資を抑制するため、前者の建築需要が大きく落ち込むことになる。
実際に、その傾向が顕著になってきている。