三菱商事はローソンを、伊藤忠商事はファミリーマートを子会社化。配当収入を得るだけでなく、商品や原材料の仕入れから物流、加盟店の消耗品まであらゆる流通ルートに入り込み、売り上げなど収益を上げることに成功した。さらに“進駐軍”のごとく人材を送り込んで着々と重要なポストに就かせており、ファミマではリストラを巡って激しいあつれきを生んだ。特集『コンビニ搾取の連鎖』(全12回)の#3では、商社によるコンビニ囲い込み戦略の成果と負の側面を取り上げる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
「三方よし」が企業理念の伊藤忠商事がなぜ
ファミマ社員から猛反発を食っているのか
「三方よし」――。大手総合商社の一角を占める伊藤忠商事は今年1月、グループ企業理念を改定すると発表した。「売り手よし」「買い手よし」に、同社創業者が滋賀県出身であることから、近江商人による地域経済への貢献をうたう「世間よし」を加えた三つの「よし」を理念とすることで、商いの原点に立ち返るという。
この企業理念が現実となれば素晴らしい。しかし、同社の子会社であるコンビニ業界2位のファミリーマートやその加盟店のオーナーたちは、果たして「三方よし」の恩恵を実感しているのだろうか。まず、現在のファミマの経営陣から見ていこう。