調査官が「怪しい!」と思う通帳とは?

 ここで、ちょっとしたクイズを出します。税務調査に選ばれると、亡くなった方の通帳だけでなく、相続人の通帳もチェックされます。

 そこで、調査官が「この相続人の通帳、名義預金なんじゃないか?」と疑いの目を向ける通帳には、みな同じ特徴があります。その特徴は何でしょうか?

 答えは、入金しかない通帳です。

 通帳には、お引き出し欄とお預かり欄の2つの欄がありますよね。そのうち、入金(お預かり)しかなく、出金(お引き出し)がない通帳を発見すると、調査官はこう質問してきます。

「この通帳のお金、全然使った形跡がありませんが、使わなかった理由はありますか?」

 この質問に対して、「使う必要がなかったので貯金していただけです」と答えるのであれば問題ありません。しかし「この通帳は、私ではなく父が管理していたので、使うことはできなかったんですよ」と答えたら、一発で名義預金と認定されます。調査官は「使わなかった」ではなく、「使えなかった」のではないかと疑っているのです。

 そのため、出金の形跡の無い通帳には疑いの目が向けられます。裏を返せば、贈与されたお金を、もらった人が実際に自由に使っていた記録があるなら、名義預金と認定される可能性は限りなく0に近づきます。

 通帳、印鑑、キャッシュカードを本人に管理させ、その通帳のお金を実際に使っていくことが、最も盤石な税務調査対策です。また、普段から生活費として引き出しをしている通帳に、贈与のお金を振り込んであげるのも、非常に良い対策になりますね。