ロボアドバイザーでの資産運用に反対する4つの理由写真はイメージです Photo:PIXTA

資産運用の世界で徐々に普及が進んでいるロボアドバイザーは個人投資家にとって役に立つのだろうか?筆者は現段階の実用性に対して否定的だ。その四つの理由をお伝えしたい。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

ウェルスナビの新規上場など
徐々に普及するロボアドバイザー

 いわゆるフィンテックビジネスの一つとして数えられることのあるロボアドバイザーの普及が進んでいる。昨年12月には、運用残高で最大のロボアドバイザー運用会社であるウェルスナビが東京証券取引所マザーズ市場への新規上場を果たした。

 ロボアドバイザーは役に立つのだろうか?

 筆者は、現段階でのロボアドバイザーの実用性に対して否定的だ。実は、このタイミングでロボアドバイザーについて論じるのは、ウェルスナビのIPO(新規株式公開)の邪魔をしたくなかったからだ(筆者ごときの意見がIPOに影響するとは思えないが、気持ちの問題だ)。現状のロボアドバイザーに不満があるとしても、テクノロジーを使った個人の資産運用のサポートには今後大いに期待したいと思っている。

 ロボアドバイザーの大まかな機能を運用の観点からまとめると以下の通りだ。

 まず(1)幾つかの質問の答えによって投資家の「リスク拒否度」を推定する。次に、(2)各資産クラスのリスク・リターンの推定値とリスク拒否度を使ってアセットアロケーション(資産配分)を決定する。そして、(3)資産クラスごとに運用商品の組み合わせを決定する。全体として、人間が行うラップ運用を、コンピューターのプログラムによって行うサービスだと思えばいいだろう。費用は、運用資産残高に対して年率1%前後のものが多い。

 上記のようなロボアドバイザーが役に立たないと筆者が思う理由が四つある。