重篤な副反応の頻度は
100万回に数回程度

宮坂昌之
みやさか・まさゆき/京都大学医学部卒業。PhD(免疫学)。スイス・バーゼル免疫学研究所、大阪大学大学院医学系研究科教授などを経て現職。主な著書に『新型コロナ7つの謎』(講談社ブルーバックス)などがある。

 多いように感じられますが、おたふくかぜのウイルスに感染すると、その約10倍の頻度で脳炎が起こり得る。ワクチンによって脳炎にかかるリスクを下げるわけですから、リスクがあっても接種した方がいいということになります。今回のワクチンでは2回目接種の2カ月後ぐらいまでは調べていて、脳炎、神経障害などは見られていないようです。

 三つ目の副反応はADE(抗体依存性感染増強)と呼ばれ、ワクチン接種後に抗体ができ、その抗体のために新型コロナ感染症が悪化するというものです。

 せっかく獲得した抗体が、再び感染した際に悪く作用し、重篤化につながってしまう。

 今回の臨床試験では、ワクチン接種群で10人以内の感染者しか出ていないので、ADEのリスクを判断するのは困難です。この現象は感染の拡大、ワクチン接種の増加によって初めて見えてくるものなのです。

 ワクチンによる重篤な副反応の頻度は100万回に数回程度。現段階ではそのリスクについて早計に判断すべきではありません。

 ワクチンについてまだ分かっていないことは結構あります。

 そもそもウイルス疾患と免疫の関係は非常に複雑です。例えば、おたふくかぜやはしかは、2回ワクチンを接種するか、一度病気にかかれば20年、30年と免疫が続く。それに対して、インフルエンザなどは4カ月ぐらいしか免疫が持続しません。

 なぜそのような違いが出てくるのか。本当のところはまだ分かっておらず、この謎を解いたらノーベル賞級です。