新型コロナウイルス感染症は世界で感染者8512万人、死者184万人を超え(1月4日時点)、ワクチン・治療薬が人類全ての関心事だ。開発が進み、2021年は上市ラッシュの予感だが「玉石混交」と慎重に見た方がいい。特集『総予測2021』(全79回)の#51では製薬メーカーの開発最前線の動きを追った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
ファイザー、モデルナ、アストラゼネカなど
コロナワクチンが日本にも上陸間近
新型コロナウイルス感染症ワクチンは本稿執筆時点では、米ファイザー製が英国、カナダなどで承認された。日本でも承認申請の段階に入っており、承認されれば2021年春までに接種が始まりそうだ。また、米モデルナ製は米国で承認され、英アストラゼネカ製も英国で承認された。
日本政府はこれらの製薬メーカーと供給契約を結んでいる。21年中に国民全員分のワクチンがそろい、希望すれば接種が受けられる公算は大きい。
ただしこれらのワクチンは新しい作成方法だったり、かつてないスピードで開発されていたりしたもので、いわば“未完成のワクチン”だ。
そうしたこともあってクレディ・スイス証券の酒井文義アナリストは、「今は決壊したダムの水を応急処置でも止めないといけない状況。データで見る限りは感染拡大をスローダウンできる」と微妙な言い回しで評価する。