特殊学級は絶対に「お得」です

借金玉 「子どもの成長スピードにアジャストしてくれる」という意味では、特殊学級はすごくおすすめなんですよ。

 実際には、自分の子どもが特殊学級に入れられるとなると「できれば、普通学級にいて欲しい」という親御さんは多いじゃないですか。僕は断然「特殊学級の方はお得ですよ」と言っているんですけど。

加藤 私も教育現場を取材してきた身として、本当にそう思いますね。あるお母さんが「自分の子どもは、普段は普通学級にいるんだけど、ときどき特殊学級に通っている」と話していたんです。

 最初は違和感があったけれど、実際入ってみたら、特殊学級の先生が本当にすばらしかったそうなんです。必ずその子の「できたこと」を連絡帳に書いてくれたり、親が気づかないことを気づかせてくれるので、その先生のおかげで子どもに対するアプローチを変えられた、と。すごく喜んでいました。

借金玉 すごくいいことですね。一般的な学習環境としても、絶対に少人数の特殊学級の方がお得なんですよ。30人とか40人の子どもが一つの教室にいて「よーいどん」で勉強するって、けっこう無理なんだろうなと思います。

加藤 専門の先生がフォローしてくれるというメリットもありますしね。

発達障害の僕から「自分の子は発達障害?」と悩む親に必ず伝えたい2つのこと

借金玉 発達障害の子の場合「じっと座っている」ということ自体ができない子も多いですから。僕は昔、学生起業で補習塾をやっていたんですけど、そこでのスタートは「50分、なんとか座らせる」ということでした。ただ座って、雑談でもしながら50分経ったら「すごいじゃん!」っていう感じです。

 でも、学校のクラスで何十人と一緒にいたら、親御さんもどうしても他の子と比較して「できないこと」が気になっちゃいますよね。それで親との関係がうまくいってない、というところも多いですよ。

加藤 特殊学級での先生の向き合い方によって、親御さんが「子どもとの接し方を変えていく」というのはすごくいいことですよね。借金玉さんが本でも強調されている「きみは変わらなくていい、周りの道具や環境を変えなさい」というところにも繋がってきますね。

借金玉 本当に、そうです。よく考えてみればわかることなんですが、別に小学生・中学生で、みんなと同じことができる必要は全くありません。人生は長いし、社会に出てからの方がずっと長い。僕なんて、「30歳までしか生きないぞ」とずっと思っていたのに、昨年35歳になってゾッとしているところです(笑)。

「人生は長期的に帳尻が合えばいい!」「特殊学級は絶対お得!」という点は、ぜひ親御さんにもわかって欲しいところですね。

発達障害の僕から「自分の子は発達障害?」と悩む親に必ず伝えたい2つのこと加藤紀子(かとう・のりこ)
1973年京都市出まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、国際バカロレア、教育分野を中心に「NewsPicks」「プレジデントFamily」「ReseMom(リセマム)」「ダイヤモンド・オンライン」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。膨大な資料と取材から「いま一番子どものためになること」をまとめた『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』が15万部を超え大きな話題となっている。