外科医の誕生日の手術は、本当に危険なのか?
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「外科医の誕生日に手術を受けた患者の死亡率が、誕生日以外の日に手術を受けた患者の死亡率よりも高い」——。昨年12月にカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介助教授らのチームが英医学誌「BMJ」に発表した研究成果の論文が話題となっている。これはあくまでも米国での研究だが、日本ではどうなのか、そもそもただでさえ多忙な医師の仕事のパフォーマンスに対する影響や原因をどう考えるべきなのか、津川友介助教授に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

外科医の誕生日の手術は
死亡率が1.3%高い

「今回発見された内容は、欧米よりもむしろ日本への影響の方が大きい可能性もある」と語るのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の津川友介助教授だ。

 津川氏は、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科の加藤弘陸特任助教(研究実施時は慶應義塾大学大学院経営管理研究科訪問研究員)、ハーバード大学のアヌパム・ジェナ准教授らとの共同研究によって米国のビッグデータを解析し、「外科医の誕生日に手術を受けた患者の死亡率が、誕生日以外の日に手術を受けた患者の死亡率よりも高い」ことを明らかにした(研究成果は、「BMJ)」のクリスマス特集号にオンライン掲載されている)。

 手術のパフォーマンスは常に最適ではなく、20~30%の患者が手術後に合併症を経験し、5~10%の患者が手術後に死亡すると報告されている。そして、合併症のうち40~60%が、死亡のうち20~40%が回避可能であったとの研究結果がある。手術のパフォーマンスには、病院や医師に関するさまざまな要素が影響を及ぼすと考えられるが、これまで外科医が目の前の患者の治療に全集中できない勤務状況がパフォーマンスに与える影響に関しては、十分検証されていなかった。