客観的な事実かどうか弁別し
一人の話を絶対視しない

 第3のポイントは、聞いた話が「主観的な真実」なのか「客観的な事実」なのかを弁別することと、一人の話を絶対視しないということです。

 マッチングサイトなどを通じてOB・OG訪問をすると、当たり外れも大きく、その企業を辞めた人がその企業の悪口を言う場面もあるかもしれません。辞めた先輩にとってその企業が雰囲気の悪い会社だったということは、先輩にとっては「主観的な真実」ですが、それが誰にでも当てはまるとは限りません。

 また、辞めた人は、その企業では少数派だったり、異端だったりしたということです。その企業では、辞めずに働いている多くの人がいて、その人とは違う意見を持っているはずです。悪い話を聞いたとしても、内部情報だからといって、ことさらに振り回されないようにするのが賢明です。多くの場合、企業が危ない状況にあれば、それは客観的な経営数字として表れてくるものです。

 あなたがたまたま出会った企業の人というのは、全社員の中のたった一人のサンプルでしかありません。その人が見ているのは企業の一側面でしかないのです。一人の話を絶対視せずに、あくまでその人の意見や経験であることを心に留めておきましょう。

 これは説明会の動画や企業HPを見るときにもいえることです。説明会の動画や企業HPでは、動画の尺やHPのスペースに収めるために、切り取られ、編集された情報しか載っていません。つまり企業に都合の良い偏った情報になっているといえます。その情報の背後には、表には出てこない、いろいろな事実があるのです。できるだけいろいろな人から、いろいろな角度から、その企業について聞くようにして、冷静な判断を心がけることで、情報をふるいにかける精度が上がっていきます。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局次長 福重敦士)