いかに現場のマネージャーとの連携をとるか、新入社員のパフォーマンスマネジメントをいかにオンボーディングに組み込むかがカギとなります。

 明確に定義された目標に向かって仕事をしながら、新入社員の意欲と生産性を維持するには、90日間のロードマップを立てる方法が効果的と言われています。ロードマップは、新入社員が90日以内に完了できる実行可能なタスクのリストであれば、どのような形でも構いません。このアプローチであれば、新入社員がオンボーディングの早い段階で何らかの成功を収めることができ、自信を高め、会社へのエンゲージを高め、離職リスクを低減できます。

リモートワーク下の
オンボーディングで気をつけたいこと

 そして、もう一つ新入社員の育成で重要なのが、リモートにおけるコミュニケーションです。リモート環境において上記のことを実施するためには、オンボーディングの過程でミスコミュニケーションが生じることを減らすために、可能な限りお互いの顔が見えるビデオチャットを使用することをお勧めします。会話を録音してもよいでしょう。「対面で(ビデオ)」コミュニケーションをとることで、新入社員が新しい仕事を快適に感じ、チームの一員として歓迎されていると感じられる鍵となります。

 定期的に設ける最低週1回のチェックイン(様子確認/進捗確認)の他、チームの関係性を保ち、最新の情報を入手し続けるために、気軽に自分の動向や発言を投稿できるSlackやTeams、Chatworkなどのコミュニケーションツールの活用を推奨することも必要です。また、バーチャルランチタイムやコーヒーブレイク、ハッピーアワーを設けるなど、社員同士の交流を促進させる策も考えるとよいでしょう。

 リモートでの研修、新しい人事制度の導入と、人事を取り巻く環境も大きく変化しつつある今、この機会をチャンスに変えられるよう、小さな変革からコツコツ実行していきたいものです。

(ATDジャパン理事、インストラクショナルデザイン代表取締役 中原孝子)