業務収入と人員規模で業界ナンバーワンの座にあるのが、デロイトトーマツグループだ。約1万5000人の国内最大ファームを率いる永田高士CEO(最高経営責任者)は、会計士としては“傍流”のキャリアを歩んだ。特集『激動!会計士』(全12回)の#6では、その永田CEOが掲げるさらなる成長戦略の中身に迫る。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
ビッグ4で最大規模のデロイトトーマツ
コロナ禍でも過去最高益を更新中
――永田CEOは一般的な会計士とかなり違ったキャリアを歩まれたそうですね。ご自身を「傍流」と表現されたこともあるようですが。
監査法人で会計監査一筋という会計士が一般的なキャリアとするならば、私の場合は他のビッグ4のトップとは若干違うかもしれません。
例えば、デロイトトーマツベンチャーサポートというベンチャー企業の支援会社を創業したり、会計士ではない専門家を集合させたリスクアドバイザリーのビジネスを新たに立ち上げたりしました。
新しいもの好きだったということでしょうか(笑)。チャレンジすることに対して、失敗したらどうしようという恐怖感はありませんでした。
――グループ内でも、今言ったような監査業務以外の非監査業務の領域が非常に伸びています。この傾向は今後も続くのでしょうか。
例えばコンサルティング事業が伸びているからといって、ここに成長のドライブをかけて一気に進めるのは、経営的には非常に不安定な部分があります。
なぜなら継続的に業務が続く監査とは違い、コンサルはスポット的な要素があるから。今回のCOVID-19拡大では幸いにも大きな影響がありませんでしたが、リーマンショックのときは、システム導入支援など、かなりのコンサル業務が一時的にストップしました。
一本足打法で集中的に投資するよりも、監査も含めたバランスを考えて投資していくのが、私が考える経営の在り方です。
――コロナ禍の影響を受けた2020年、経営環境はどのように変化しましたか。
業績面では4~5月ごろからブレーキがかかり始め、当初の予算に到達できませんでしたが、20年5月の決算ではグループの業務収入が前年比7.4%の成長でした。今期も足元では前期を超える速度で成長しています。
――その要因は何でしょうか。