激動!会計士#7
写真:つのだよしお/アフロ

かつて四大監査法人では、IPO(新規株式公開)支援が花形部署とされた。だが監査報酬額が安く、上場直後の業績修正など監査事故が起こりやすいことから、大手のIPO回避が顕著になっている。特集『激動!会計士』(全12回)の#7では、ベンチャーかいわいで課題になっている「IPO難民」と、そこで“救世主”として名乗りを上げた準大手や中小の監査法人をテーマとして取り上げる。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

監査法人が新規上場企業の支援を回避
ベンチャー企業が直面する「IPO難民」

「監査法人が、上場する会社を“選定”する状況になってしまっている」(ベンチャー企業の経理担当幹部)

 IPO監査難民――。近年、ベンチャー企業かいわいで取り沙汰されているのがこの問題だ。

 IPO、つまり新規株式公開をする際、企業は上場審査に備えて、公認会計士に2期分の監査証明をしてもらうことが必要になる。だが、四大監査法人が「IPO準備の仕事を受けなくなった」(大手ベンチャー企業の役員)ことで、上場企業が増加しにくい環境ができているというのだ。

 そもそも公認会計士には、企業の財務情報の信頼性を担保することを通じて、資本市場の活性化を担う役割が期待されている。IPOによって、新規に市場に参入する企業を支援することは、期待役割に沿う監査法人の重要な使命だ。

 今でも、「IPO監査をやりたいと言って入ってくる人はいっぱいいる」(大手監査法人幹部)。例えば、監査法人トーマツのトータルサービス部というIPO支援部署のように、「トーマツに就職するならこの部署に入りたい」と言われるような典型的な花形部署も、業界内には存在した。

 多くの会計士が憧れるIPO監査だが、監査法人側にも、そうやすやすと受け入れられない事情がある。最大の問題は、IPO監査はリスクと報酬が見合っていないことにある。