「わがまち」の社会保障を変える
地方議員という重要アクター

コロナ禍の地方議員選挙で見つめ直す、自治体別「困窮者支援策の充実度」コロナ禍だからこそ注目したい、自治体の生活困窮者支援策の充実度は?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 コロナ禍には収束の兆しが見えず、貧困の拡大と深刻化にも留まる気配が見えない。これまで政治への関心を見せなかった人々も、日本の現在の政治に対して「このままで良いわけはない」という思いを抱き始めているようだ。

 普段、政治にかかわる発言を慎んでいても、選挙権者なら選挙に参加することができる。そして1月から2月初めは、地方選挙シーズンだ。1月31日と2月7日だけでも、全国の23自治体で首長選挙や議員選挙が行われる。

 筆者が重要性を強調したいのは、他地域から関心を向けられることが極めて少ない地方議員選挙だ。地方議員は、住民の声やニーズを汲み取り、自治体の責任者から聞き取りを行い、場合によっては調整や介入も行う。地域のために活動している地方議員の場合、議会での発言の背景には、細やかで目立ちにくい日常の活動の数々がある。

 地方議員選挙での「1票の価値」は、極めて重い。首長選挙や国政選挙に比べると、選挙権者の人数に対して候補者の人数が多く、数票差で当落が分かれることも多い。自分のニーズを地元の政治に反映してくれる候補者を議会に送り出すために、自分の1票を使える可能性は、国政選挙よりも高い。

 そこで、1月31日に地方議員選挙が予定されている地域について、生活保護と生活困窮者支援に注目して、自治体の施策と議会会議録を眺めてみた。なお、会議録検索に際して所属会派のチェックは行わなかったため、もしかすると「その自治体では〇党ばかり」という偏りが発生しているかもしれないことを、お断りしておく。

「市だからこそ」の可能性を
市議会は引き出せているか

 まず、1月31日に議員選挙が行われる予定の市を見てみよう。生活保護や生活困窮者支援制度において、実施の責任は市にある。具体的には、福祉事務所を設置して人員を配置し、予算を確保して生活保護費や住居確保給付金などの現金給付を行う。生活困窮者自立支援制度においては、業務委託も認められている。