参院選の各党の公約は
どれほど生活保護に向かっているか
本記事公開日の2日後にあたる7月21日は、参議院議員通常選挙の投開票日だ。20日までは、期日前投票所でも投票できる。そこで今回は、与野党の公約に見られる生活保護に関する政策を比較したい。
といっても、生活保護そのものについての記述は多くない。理由の1つとして考えられるのは、「票にならない」ということだ。生活保護で暮らしている人々のうち選挙権を有している人々は、10万のケタで四捨五入を行って切り上げても、約200万人である。
日本の有権者数をざっくり「約1億人」とすると、生活保護で暮らしているのは、有権者の2%に過ぎないマイノリティだ。障害者もマイノリティだが、生活保護で暮らす人々は、日本の全障害者(約7%)の3割にも満たないマイノリティ中のマイノリティ。そしてしばしば、生活保護で暮らす人々には、障害・難病・性的少数者などのマイノリティ属性が重なっている。政治家にとって、議席を獲得して多数派となることが目的なら、その人々を「票田」と考えることには合理性はないだろう。
もっとも、生活保護が必要なはずなのに利用していない人々、働いているのに生活保護より苦しい暮らししかできない人々、生活保護の必要性はないけれども介護保険料や就学援助など何らかの形で生活保護政策の影響を受けている人々を合計すれば、おそらく2000万人を超えるであろう。その人々を苦しめている原因を間接的にでも改善する確実な方法は、まず生活保護制度を質量ともに充実させて利用しやすくすることだ。
しかし、それは誰にでも直感的に理解できることではない。「頭では理解できるけれども、気持ちがどうしても許せない」ということもあり得るだろう。さらに、生活保護だけの問題ではない。生活保護を充実させた上で、他制度の「ツジツマ」を合わせる必要がある。そのためには、財源も必要だ。増税の話を避けて通ることはできない。増税は必ず、誰かの反感を買う。
今回の各党の政策から浮かび上がってくるのは、そういった状況全体に対する目配りだ。誰に対して、どのように目配りするのか。そこに、各党の特色が現れている。