環境が様変わりした保険業界
だが、教育は旧態依然のまま?
保険業界における教育は、時代とともに進化しているのか?
保険商品は、保険会社が広告等で直接販売する形態を除き、多くは営業職員や代理店などを通じてお客さまへと供給されている。
わが国では保険は募集人から勧められて加入するものという文化があり、つい二十数年前までは来店型の保険ショップは存在していなかった。そもそも複数社の商品を取り扱う乗合代理店が解禁されたのも、1990年代のことである。
それ以前は、1社のみの保険商品を販売する営業職員を通じ、主に職域マーケットで販売されてきた。GNP(義理・人情・プレゼント)営業とやゆされることもあるが、地道な営業職員の訪問活動により、9割弱の世帯加入率という保険大国が築き上げられたことは紛れもない事実である。
それが、95年の保険業法改正(96年施行)により生命保険・損害保険の相互参入が解禁となり(子会社方式)、乗合代理店が解禁され、伝統的な日本の営業職員とは異なるセールス手法が展開されるようになった。「保険はお客さまが自ら購入するものではない」という常識はいつの間にか覆され、街には保険ショップが溢れる時代となっている。
その後、各社の商品開発・販売インセンティブ競争が激化し、2014年の保険業法の改正(16年施行)により体制整備・比較販売のルールが定められた。また、直近では法人税制の改正による節税保険の販売が終焉するなど、環境の変化が続いている。
筆者は保険業界に身を置いて30年目を迎えるが、直近の17年間は主に募集人向けの教育の業務に従事してきた。これら環境変化と教育は不可分の関係にあるが、保険業界における教育体制は旧態依然としていることが多いと感じる。そこで、自身を振り返るとともに、今後の方向性を探ってみたい。