中小企業では「所有と経営」を分離させない!

私が当社の社長になったとき、保有株式はゼロで、創業家が株式を100%保有していました。

当時の私は、「創業者の息子が社長になるまでのつなぎ役」と自覚していたので、数年後に息子を呼んで、「俺の後に武蔵野の社長をやれ」というと、「俺はやりたくない」という。

そこで、私が株を買い取ることにした。

銀行からお金を借り、1億6000万円で武蔵野の株を取得しました(全株式の85%。創業家に配当を残すため15%は創業家が持つ)。

経営の安定化を図るには、銀行からお金を借りてでも、内部留保を減らしてでも、社長の株式保有率を「67%以上」にすべきです。

武蔵野が強いのは、私が67%以上の株式を持っているからです(現在は100%)。

株式を67%以上持っていない社長は、いわば「雇われ社長」です。

他の株主が結託すれば、経営が不安定になる可能性があります。

そうならないためにも、非上場の中小企業は「所有と経営を分離させない」ことが大切です。

後継者に株の大部分を譲渡するけれど、後継者の経営手腕には不安が残る」ときは、先代経営者が「拒否権付株式」を保有しておくと、後継者に助言を与えることができます。拒否権付株式とは別名、黄金株。重要議案を否決できる権限のある株式。

拒否権付株式を持っていれば、株主総会で可決した事案であっても、社長は拒否できます。