エンジニア採用
エンジニアの採用となると、慎重になる企業経営者は少なくないようです Photo:PIXTA

企業が変革を実現し、成長し続けるために「人と組織」はどうあるべきなのか。マイクロソフト、グーグルでエンジニアとして活躍し、現在は複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、前回(『「デジタルトランスフォーメーション」は組織を思考停止させる呪いの言葉』)に続き、真の変革を進めるために必要な人材を得る方法や、組織づくりについて解説する。

成長し続ける企業の経営陣には
「テクノロジー」の分かる人が必要

 前回の記事で述べたとおり、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めて事業を変革するには、人と組織が変わる必要があります。また、企業の真の変革には、ITの内製化、もしくは自社で主体性を持ってIT戦略を意思決定する「手の内化」が有効だとお伝えしました。

 では、変革を実現し、新規事業を生み出せる企業の「人と組織」とは、どういったものでしょうか。私はまず、IT戦略を立案できるほどの知見が必要だと考えています。しかし、日本では企業における技術者の割合が少なく、意思決定層に技術が分かる人がいない企業も多いのが現実です。

 企業の意思決定層にはテクノロジーに明るい人が就くのが理想で、「ものづくり」に携わる企業なら、なおさらです。そういう人材がいないなら、意思決定層の方には技術を学んでほしいと思います。社会人になってからも学ぶ人は、世間全体を見れば少ないかもしれませんが、技術者として現役でいたい人は勉強し続けています。学び続けなければ、仕事に必要な最新のテクノロジーに追い付けなくなるからです。

経営者になってもドライビングを
学び続けたトヨタ自動車・豊田氏

 経営陣が学ぶべき分野としては、IT、そしてデータサイエンスは必須です。難しくてとても手が付けられない人は、「利用者としてテクノロジーを使ってみる」ところから始めてください。スマートフォンのアプリやウェブサービスなど、自分の子どもや孫の世代で何が流行していて、どう使っているのか、自分でも実際に試してみるのです。なぜそれがウケているのか分からなければ、自身の感性が既に衰えてきているのかもしれません。

 前回紹介した、ネット印刷のラクスルや、医療専門家向け情報サイトのエムスリーなどのように、成功しているアプリやサービスを自分の事業ではどう活用できるか、考えるのも有効です。そのために、タスク管理ツールなどで自分の仕事の生産性を上げたり、クリエイティブなアイデアが得られたりするさまざまなツールを使うのもよいでしょう。