写真:道路,植物写真はイメージです Photo:PIXTA

Twitterではさまざまな「特定アカウント」が存在するが、植物の特定において「やけに植物に詳しい悟空」の右に出る者はいない。道端の植物の名前や特徴をドラゴンボールの孫悟空風に特定、解説するのが人気で、フォロワーは13万人を超える。そんな人気アカウントの“中の人”である瀬尾一樹氏が昨年12月『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』を上梓。同氏に街中に生える植物を観察する魅力を聞いた。(清談社 沼澤典史)

新宿でも見られる
124種類の植物

 瀬尾氏は「やけに植物に詳しい悟空」アカウントにて、「#オラ草が知りてぇ」というハッシュタグと草花の写真が載せられたツイートに対し、「こいつはシャリンバイだ! いっぺぇ実ぃなっててかわいいよな~!」といった具合に孫悟空口調で次々と返信していく。そんな瀬尾氏は自然を解説するインタープリターとしても活動している。

「子どもの頃から植物や昆虫が好きでした。悟空アカウントを始めたのは2019年8月末から。もともと街中のいわゆる雑草と呼ばれる植物を面白く発信する方法を探していました。その中で悟空の独特の口調と組み合わせたら面白いかなって思ったのが始めたきっかけです。フォロワーも1万人いけばいいと思っていたのですが、まさかこんなにフォローしていただけるとは想像もしていませんでした」

 そんな瀬尾氏のアカウントには多くの特定依頼が寄せられる。さまざまな花が咲く春から秋にかけては特に多い。

「花が多く咲くシーズンには1日で多いときは数百件、最低でも20件は答えています。ここまで植物の名前を知りたい人がいるとは思っていなかったですね。聞かれることが多い種類は、ピンクの花が丸く集まっているのが特徴的なヒメツルソバ。あとはコンクリートの隙間からでも生え、繁殖のスピードも早いタカサゴユリです。これらは新宿などの大都会でも見られる植物です。実際、僕も新宿駅南口から1時間ほど歩き回っただけで、124種類の植物を見つけることができました」

写真:ヒメツルソバヒメツルソバ(以下、写真はすべて瀬尾一樹氏が提供)
写真:タカサゴユリタカサゴユリ