高田明ジャパネット創業者・高田明氏 Photo by Kazutoshi Sumitomo

数々の功績を残したトップリーダーたちは、リーダーになるまでに何を考え、どう行動していたのか。今回は前回に引き続き、ジャパネットたかた創業者・高田明氏にネクストリーダーに必要な心得を聞く。高田氏は、2015年1月に同社の社長を退き、翌16年にはテレビショッピングからも引退した。カリスマ経営者の引退後、迷走したり、業績を大きく落としたりする企業も少なくないが、ジャパネットたかたはその後も成長を続け、連結売上高2400億円(見込み)に到達している。高田氏は、自身が引退するまでにどのような考えで社員教育や後継者の抜擢を行っていたのか。(※「高田」の正式な表記は“はしご高”)

※前編「ジャパネット創業者・高田明氏が「目標を掲げない経営」で成功できた理由」はこちらから。

100叱って1褒める
社員を叱り続けた理由

「社長は100叱って1しか褒めん」とか「社長は10年も20年も同じことばかり言っている」と言われたことがあるほど、私は社員に厳しく接してきました。でも、それは社員に成長してほしいと本当に願っているからです。実際、叱られても諦めずに向かってくる人は成長していくんですよね。

 もちろん「怒る」とは違いますよ。一番愛情がこもっている「叱り」の言葉は、親からの子どもへの叱りではないでしょうか。子どもの成長や将来を考えて、本気で想っているからできること。そこまではなれなくても、社員との向き合い方はそうありたいと考えていました。

 私は、人との接し方とか愛情のかけ方などを常に意識しています。突き放したくない想いがあるからです。廊下で会ったら声をかけたいし、いつでも自然体でいたいと思います。あと、叱られる人は対等じゃないと思っているかもしれないですけど、私は対等に接していました。1年目の人にも10年目の人にも同じようなこと言いますから。今は叱ってはいけない風潮がありますが、本当は若い人も自分に関心を向けて叱ってもらいたいと思っているんじゃないかと感じています。

 そして後継者の抜擢・育成にはいろんなやり方があると思いますが、私は「俺についてこい!」と言ってついてきた人を抜擢するのではなく、社員の行動や性格をじっくり見て抜擢するようにしていました。